リーダーシップ、金融業界とは―金利が戻り最高益
2026年5月19日の「現代マネジメントⅠ」では、経営支援NPOクラブの杉田一志氏と鉄本哲彦氏にご講演をいただきました。経営支援NPOクラブは、企業でキャリアを積まれた方を中小企業等に派遣し、指導する活動を行っています。

ご講演中のお二人
「リーダーシップ」杉田一志氏のご講演
杉田氏からはリーダーシップとは何かについてご講演がありました。リーダーシップは経営学の重要テーマで、前回のダイナミックケイバビリティを高めるためにもリーダーの力、リーダーシップが欠かせません。B. Bassによれば、リーダーシップとは2人以上のグループからなる、グループにおける複数のメンバー間の相互作用であり、心理的に他者に変化をもたらすことと定義しました。リーダーシップ研究には歴史的に1940年代から1990年代までの5つの理論があります。5つ目は、トランザクショナル?リーダーシップ(TSL)とトランスフォーメーショナル?リーダーシップ(TFL)理論で、B. Bassによって1980-90年代に提唱されました。TFLはビジョンと啓蒙のリーダーシップで将来の先の見えない時代に求められています。
2000年代にはシェアード?リーダーシップ(SL)という「グループで複数の人間が、時には全員がリーダーシップを執る」という新たなリーダーシップ論がC. Pearceら(2003)によって唱えられました。その実例はコンサルタント会社のマッキンゼーであり、同社出身の南場智子、谷村格、安宅和人らはTFL、SLを実践しています。
リーダーは支配型からサーバントリーダーにシフトするのが理想であり、サーバントリーダーはすでに1970年代にR. Greenleafによって唱えられました。
学生には、どのようなリーダーなら部下になりたいか、また自身はどのようなリーダーになりたいかがと問われました。

ご講演中の杉田氏
「金融業界とは」鉄本哲彦氏
鉄本氏は、大阪大学卒、昭和54年に三和銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。国内外で主に法人営業に関与。国内4カ店、国内関連会社出向2社。その後、ロスアンゼルス、シドニー、インドネシアのジャカルタと海外3社に駐在(海外通算17年)というグローバル人材として功績を残されました。52歳でKPPグループホールディングス(商社)に転籍。経営管理?企画、商社上場の準備にも従事。同社の上場に深く関わりました。
鉄本氏は金融業界とは何かと言う視点から、銀行、証券会社、保険会社などから構成されることを説明し、メガバンク以外にノンバンクのリース、ファクタリングにも言及しました。
私たちに身近な金融、そして銀行の役割については、現日銀総裁の植田和男著『大学4年間の金融学が10時間でざっと学べる』(2017)をもとに解説されました。
MUFGのバランスシートや収益構造を解説、同社は国内最大級のメガバンクであり、グローバルネットワークを有しています。その経営姿勢はMUFG Wayであり、行動規範は社員向けのものであるとのことです。
海外駐在17年の経験から、海外事業をなぜ日本企業が重視するかが説明されました。そして海外駐在で得られた成長についての理由が印象的でした。担当領域が拡大し、実践的マネジメント経験が積まれ、3年で10年分(?)の経験値に匹敵するとのことです。
銀行員30年説で、同期160人うちの一人が役員になる時、159人がセカンドキャリアに向かいました。転籍して社長になる人もいて、本人の実力次第とのことです。
海外駐在から戻ってから、銀行の取引先である国際紙パルプ商事(現:KPPグループホールディングス)に出向し、2009年に転籍。セカンドキャリアが始まりました。同社で管理部門を歩み、上席執行役員として上場準備にあたり、2018年に東証上場を果たしました。
2026年と1979年の就職人気ランキングが比較されました。最後に金融業界の最新動向として、「AIは人間の内なる革命 理系経営者の三菱UFJ亀澤宏規社長」『日経』(2026年3月7日)が紹介されました。

鉄本氏のご講演
学生からの質疑応答では、海外赴任の前に英語をどのように修得したのか? 若い頃に大変だったことは? 金融業界に相応しい人材とは? 異文化体験で苦労したことは? などがありました。

310名が出席
以下、学生からの感想の一部を紹介します。
「一人目の杉田さんのお話からは、リーダーシップ論について詳しく学ぶことができた。自分が会社に入ったら、トランザクショナル?リーダーシップを持った上司の部下になりたいと感じた。また、自分が誰かの上司になったときは、この理論を忘れずに、部下の意思を重んじることのできる人でありたい。二人目の鉄本さんのお話からは、金融業界の中の、銀行の役割について改めて学ぶことができた。銀行には決済、直接金融、間接金融といった複数の役割があり、私たちの生活には必要不可欠であることを理解することができた。また、海外駐在の経験の話から、将来、海外で働くことも視野に入れたいと思いました。」
「銀行の役割や収益構造といった教科書的な基礎から、メガバンクの現役社長の言葉、そして銀行員の30年説といったリアルなキャリア論までが網羅されており、金融業界の現状と未来を立体的に理解できました。特に1979年と現在の就職人気ランキングの比較は衝撃的で、かつて上位を独占した銀行名が消えている現実に、業界の激しい再編の歴史を感じます。しかし、生成AIの進化によって仕事が代替される可能性が指摘される一方で、経済に必須の業界であるという本質や、人間ならではの思考力やストーリーづくりの重要性が強調されている点に深く納得しました。自らの実力を磨き続ける覚悟が必要だと強く実感しました。」
「本日の講演では海外駐在の経験の話がとても印象に残った。グローバル化社会において様々な業界で海外事業が重視されていると思う。その理由として市場拡大に向けた成長戦略や競争力の強化、グローバル人材の育成ができると学べた。また、海外駐在で得られる成長としては、担当領域の拡大や実践的なマネジメント経験、3年で10年もの経験値がつくと知った。3年で10年もの経験値がつくということはとても効率的であり、日本では身につかない能力も身につくのだと思った。私も、語学をしっかり学習していつか海外で働いてみたいと思った。」
(M.M.)
経営学部